ホーム

> 

連載コラム


9月30日が期限|育成就労で今月やるべきことは電話1本

9月30日が期限|育成就労で今月やるべきことは電話1本

2026.09.16

今月末に、ひとつ期限があります。2026年9月30日です。

外国人の受け入れを手伝ってくれる組合や団体が、新しい制度に向けた許可を国に申請する期限の目安が、この日です。ここを逃すと、来年4月からの受け入れそのものが動かなくなる可能性があります。

そして、お店側がやることは、今のところ電話1本です。

この記事でお伝えするのは、3つです。

  • 2027年4月に「育成就労(いくせいしゅうろう)」という新しい制度が始まります。飲食店が海外から人を呼んで育てられる、初めての制度です。

  • その前段として、9月30日までに動いてほしいことがあります。取引先の組合や団体への確認です。

  • 育成就労を使う予定がないお店も、この時期に見直しておきたいことがあります。

まず、育成就労とは何か

3行で説明します。

これまでの「技能実習」に代わる新しい制度です。技能実習は日本の技術を海外に伝えることが目的でしたが、育成就労は目的が違います。人手が足りない業界で、外国人を3年かけて育てて、そのまま働き続けてもらうことを正面から目指します。

制度が正式に始まるのは2027年(令和9年)4月1日です。根拠になる法律は2024年6月に成立し、始まる日も正式に決まっています(出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」)。

飲食業にとって大きいのは、外食業がこの制度の対象に入ったことです。

詳しくは次回お伝えしますが、これまで街の飲食店は技能実習生を受け入れることができませんでした。

なぜ9月30日が期限なのか

制度が始まるのは来年4月なのに、なぜ今月末なのか。理由は、準備の順番にあります。

外国人を受け入れるとき、多くのお店は組合や団体を通します。この団体のことを、これまでは「監理団体」と呼んでいました。新しい制度では「監理支援機関(かんりしえんきかん)」という名前と役割に変わります。

ここで、いちばん誤解が多い点をお伝えします。

今の監理団体が、そのまま自動的に新しい機関になれるわけではありません。

名前が変わるだけではなく、あらためて国の許可を取り直す必要があります。条件も厳しくなりました。たとえば、外部の監査人を必ず置くことが義務になりました。以前は任意でした。

この許可の申請は2026年4月15日に受付が始まっており、審査がスムーズに進むためには2026年9月30日までに申請することが望ましいとされています(外国人技能実習機構)。

つまり、こういう順番です。

順番

誰が

何を

いつまで

1

組合・団体

監理支援機関の許可を申請する

2026年9月30日までが望ましい

2

お店

協議会に加入し、育成就労計画を申請する

協議会の加入受付開始は農林水産省の案内待ち

3

制度が始まる

2027年4月1日

1番目が動かないと、2番目をどれだけ頑張っても意味がありません。

今月やること:電話1本

やることは、これだけです。

今つきあいのある組合や団体に、こう聞いてください。

「監理支援機関の許可申請は、いつ出す予定ですか?」

返ってくる答えは、だいたい3パターンです。

「もう出しました」

問題ありません。念のため、いつ結果が出る見込みかも聞いておいてください。

「これから出します」

9月30日までに出せるかを確認してください。間に合わないようであれば、来年4月からの受け入れが後ろにずれる可能性があります。

「出さない予定です」または答えが曖昧

これがいちばん困るパターンです。その団体経由では受け入れができません。別の団体を探すか、育成就労を使わない前提で採用計画を組み直すか、判断が必要になります。

いずれにしても、9月中に聞いておけば選択肢が残ります。年末に聞いて「出さない」と言われると、打つ手がありません。

お店の申請は、11月1日までが原則

組合の話とは別に、お店自身も申請が要ります。

「育成就労計画」という書類を国に出して、認めてもらう必要があります。この受付は2026年9月1日に始まりました。窓口は、外国人技能実習機構という国の機関の地方事務所・支所です。

出す時期にも目安があります。受け入れを始めたい日の、7か月前から5か月前まで。2027年4月1日から受け入れたいなら、2026年9月1日から11月1日までが本来の申請時期です。

書く内容は3つです。

書くこと

外食業の場合

技能の目標

1年で外食業育成就労評価試験(初級)、3年で外食業特定技能1号技能測定試験に合格させる

日本語の目標

働き始めるまでにA1相当、3年の終わりまでにA2.2相当

他社に移るのを止める期間

2年。1年にしてもよいが、2年にすると2年目に昇給の義務がつく

出典は、2026年1月23日に国が決めた外食業のルールです。それぞれの中身は、この連載の中で追ってお伝えします。

「人が足りないから」だけでは、この書類は書けません。3年後にどうなっていてほしいのかを、数字で決める必要があります。

ただし、この日付だけを見て慌てる必要はありません。外食業では、申請の前にもうひとつ手順があるためです。

受け入れる会社は、まず業界団体である「食品産業育成就労協議会」に加入する必要があります。加入して初めて、育成就労計画の認定申請ができる仕組みです。そして9月時点では、この協議会の加入受付がまだ始まっていません。 開始時期は農林水産省から案内されることになっており、加入証が発行されるまでにも2〜3か月程度かかるとされています。

つまり、今すぐ書類を作っても、順番として先に進めません。

大事なのは、案内が来たときにすぐ動けるよう、使うかどうかの判断を先に済ませておくことです。

使う予定がないお店も、この秋に見直したいこと

ここまでは、育成就労を使う場合の話でした。

ただ、使う予定がないお店にも、この時期にやっておきたいことがあります。

理由は、2027年4月1日に別のことも起きるからです。

同じ法律の改正で、不法就労助長罪の罰が重くなります。働いてはいけない外国人を働かせてしまったときに、お店の側が問われる罪です。

2027年4月1日から

罰の重さ

3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金

出典は出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正法について」です。なお、拘禁刑と罰金は、どちらか一方だけでなく両方が科されることもあります(併科)。

この罪でこわいのは、「知らなかった」で済むとは限らないところです。在留カードを確認していなかったなど、お店の側に落ち度があれば対象になります。留学生のアルバイトが1人でもいるお店は、関係があります。

具体的に何を見ればよいかは、この連載の中であらためてお伝えします。

もうひとつ、10月1日にはパート・アルバイトの労働条件通知書に書く項目が増える改正もあります。秋は、書類まわりをまとめて見直すのにちょうどよい時期です。

今月中にできること

期限が近いので、優先順位をつけます。

今週やること

  1. 取引先の組合・団体に電話して、監理支援機関の許可申請の予定を聞く

9月中にやること

  1. 育成就労を使うかどうか、経営として方向性を決める

  2. 使う場合は、3年後にどこまで育てたいかを話し合う

10月にやること

  1. 使う場合は、協議会の加入受付が始まったらすぐ動けるよう準備しておく

  2. 使わない場合も、外国人スタッフの在留カード・労働時間・在留期限の管理を見直す

まとめ

9月30日は、制度が始まる日でも、罰則が変わる日でもありません。ただ、ここで動かないと来年4月に間に合わなくなる、という順番の問題です。

やることは電話1本です。

「監理支援機関の許可申請は、いつ出す予定ですか?」

これを今週中に聞いておけば、選択肢が残ります。

次回は、そもそもなぜ育成就労が飲食業にとって大きなニュースなのか、そして受け入れられる人数の上限についてお伝えします。

参考にした情報源