ホーム

> 

連載コラム

>

特定技能「外食業」が停止中|今いる外国人スタッフを守る4つの点検

特定技能「外食業」が停止中|今いる外国人スタッフを守る4つの点検

2026.09.30

今週で9月が終わります。来月10月1日には、パート・アルバイトの労働条件通知書に書く項目が増える改正も始まります。書類まわりを見直すには、ちょうどよい時期です。

今回は、外国人スタッフの管理について、お店で今週からできる点検をお伝えします。

  • 特定技能「外食業」の新規受け入れは、2026年4月13日から止まっています。試験も行われていません。

  • 新しく採るのが難しい以上、今いるスタッフに辞められないことがいちばん大事になります。

  • そして2026年6月14日から在留カードのつくりが変わりました。今までと同じ見方では足りません。

特定技能の外食業は、今止まっています

まず、状況の整理から。

外国人が特定技能という資格で日本で働くには、人数の上限があります。外食業の上限は5万人でした。

その上限に届きそうになったため、国は2026年4月13日から、新しい受け入れの手続きを一時的に止めました(外食業分野における1号特定技能外国人の受入れ停止措置について)。

これに合わせて、外食業の特定技能の試験も、当分のあいだ日本国内でも海外でも行われていません。試験がなければ、新しく資格を取る人も出てきません。

すでに手続きの途中にいる方については、上限の範囲内で順に許可される扱いとされています。審査の状況は出入国在留管理庁のページで随時公表されています。

この停止は、ずっと続くと決まったわけではありません。人手不足が再び深刻になれば、再開を求める仕組みも用意されています。ただ、いつ再開するかは示されていません。

飲食店がいちばん使ってきた採用の入口が、今は閉じている。育成就労が始まるのは2027年4月。その間をどう乗り切るか、という状況です。

だから、今いる人がいちばん大事になる

入口が閉じている以上、まずやるべきことは「新しく採る工夫」ではなく、「今いる人に辞められないこと」です。

ひとつ、面談で使える話があります。

外食業の特定技能には、その先の道が用意されています。特定技能2号という資格に進むと、在留期間の更新に上限がなくなります。その条件のひとつが実務経験です。国が決めた外食業のルールには、アルバイトや他の外国人スタッフを指導しながら接客も行い、店舗の管理を手伝う立場(副店長やサブマネージャーなど)としての経験が必要だと書かれています。

つまり国の制度のほうに、「副店長を任せられる人材まで育てる道」がすでに用意されているということです。

今いるスタッフに、この先の道が見えているでしょうか。一度、面談で話しておく価値があります。

もちろん、制度の話だけでは人は残りません。シフトが安定しているか、休みが取りやすいか、住まいの相談に乗っているか。結局はそこが効きます。

参考までに、有給休暇の取得率を見てみます。令和7年就労条件総合調査(2025年12月19日公表、令和6年の実績)によれば、全産業の平均は66.9%で過去最高を更新しました。一方、宿泊業・飲食サービス業は50.7%で、全産業の中でいちばん低い水準です。差は16ポイントあります。

長い目で見れば、この業界も上がってきました。平成29年調査では32.8%でしたから、8年ほどで大きく改善しています。ただ、他の業界も同時に上がっているため、差はなかなか縮まりません。

外国人スタッフにとっても、勤め先を比べる材料になります。制度の要件を満たすことと、選ばれる職場であることは別の話です。

在留カードの見方が変わりました

ここからが、今週やっていただきたいことです。まず、確認の方法そのものが変わった話から。

2026年6月14日から、新しいつくりの在留カードが交付されるようになりました。ここで大事なのは、新しいカードには「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」が印刷されなくなったという点です(出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」)。

カードを目で見るだけでは、今まで確認できていたことが確認できなくなった、ということです。

そのかわり、国が無料のアプリを配っています。「在留カード等読取アプリケーション」といいます。カードの中に入っているICチップをスマホなどで読み取ると、印刷されていない情報も画面に表示されます。2026年8月19日には、在留期間・許可の種類・許可年月日も表示できるようになったことが公表されました。

すでにアプリを入れているお店も注意が必要です。古いバージョンのままだと、新しいカードが読み取れません。更新してください。

今週から確認できる4つのこと

1. 在留カードを、原本とアプリで見ているか

コピーだけで済ませていないでしょうか。見るのは次の4か所です。

  • 在留資格の種類(何の資格で日本にいるか)

  • 在留期間の満了日(いつまで日本にいられるか)

  • 就労制限の有無(働けるかどうか)

  • 裏面の資格外活動許可の欄(アルバイトの許可があるか)

そのうえで、アプリでICチップを読み取り、印刷されている内容と食い違いがないかを確かめます。

確認を怠っていた場合、「不法就労だとは知らなかった」と言っても、お店の側が罪に問われることがあります。「本人が大丈夫だと言っていた」は通用しません。

2. 週28時間を、正しく数えているか

留学や家族滞在の資格の方は、アルバイトの許可を取っていても、働けるのは1週間で28時間までです。

ここで、よくある2つの勘違いがあります。

勘違い1:月曜から日曜で数えればいい

違います。どの曜日から数えても、続く7日間で28時間を超えてはいけません。たとえば「日曜と月曜にたくさん入ってもらう」というシフトを2週にわたって組むと、週の切れ目をまたいだ7日間で簡単に超えます。

勘違い2:うちの店の時間だけ数えればいい

これも違います。28時間は、掛け持ち先の時間も合わせた数字です。他のお店で10時間働いている人に、自分の店で20時間入ってもらえば、合計30時間で違反になります。

年末に向けて忙しくなる時期です。応援や急な欠員のヘルプで、数時間の超過でも違反は違反として扱われます。

3. 掛け持ちを、採用のときに聞いているか

合算しないといけない以上、他でどれだけ働いているかを、お店が聞いておくしかありません。

採用面接の質問項目に入れて、定期的に聞き直す。それだけです。本人の申告に頼ることにはなりますが、聞いた記録が残っているかどうかで、後の扱いが変わります。シフト表と一緒に保管しておいてください。

4. 在留期限を、シフト表と同じ場所で管理しているか

在留期限が切れた状態で働かせれば、それだけで不法就労です。更新の手続きには時間がかかります。

シフト表や勤怠システムに「在留期限」の欄を作り、3か月前に気づける形にしておくのが確実です。店長の記憶に頼る管理は、店長が替わった時点で必ず崩れます。

なお、在留カードの番号が有効かどうかは、国のサイトでも確認できます。更新の申請中で期限を過ぎている場合も「失効していません」と表示されるので、申請中であることが分かります。

2027年4月1日に、罰が重くなります

ここまでの4つは、これまでも必要だった管理です。ただ、来年から重みが変わります。

2024年6月に成立した法律の改正で、不法就労助長罪の罰が引き上げられます。育成就労が始まるのと同じ、2027年4月1日からです。

今

2027年4月1日から

罰の重さ

3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(両方が科されることもあります)

5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(両方が科されることもあります)

出典は出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正法について」です。条文上、拘禁刑と罰金はどちらか一方とは限らず、両方が科されること(併科)もあります。

これは他人事ではありません。過去には、飲食店で留学生を週28時間を超えて働かせたとして、運営会社と店舗を統括する部長が罪に問われ、会社に50万円、部長個人に30万円の罰金が命じられたと報じられた例もあります。摘発は、店舗の現場で起きます。

本当に痛いのは、罰金の額ではありません。一度処罰されると、その後の外国人の採用そのものが難しくなります。人手が足りない中で採用の道を1本失うほうが、経営には重く効きます。

技能実習生がいる会社へ

飲食料品製造や、病院・福祉施設の給食を作る事業で技能実習生を受け入れている会社は、もうひとつ確認が要ります。

2027年4月1日以降も、すでに日本にいる技能実習生は、そのまま技能実習として在留を続けられます。ここは心配ありません。

ただし、技能実習から育成就労に、そのまま切り替えることはできません。 最後まで技能実習のルールが適用されます。

技能実習を終えたあとの行き先は、特定技能1号に移るか、帰国するかが基本です。「経過措置があるから当面は何もしなくていい」ではなく、終わったあとの進路を先に決めておく必要があります。

ここで、この記事の最初に書いた話が効いてきます。外食業の特定技能1号は、今、新しい受け入れが止まっています。「技能実習が終わったら、外食業の特定技能に移ってもらう」という今までの流れが、そのままでは使えない状況です。

修了が近い方がいる場合は、早めに個別の見通しを立ててください。

まとめ

今週やることは4つです。

  1. 在留カードを原本で確認し、読み取りアプリを最新版にする

  2. 週28時間を、続く7日間で数えているか確かめる

  3. 掛け持ち先の時間を合わせて把握できているか確かめる

  4. 在留期限をシフト表と同じ場所で管理する

これは、育成就労を使う予定がないお店にも必要です。そして2027年4月1日からは、これを怠ったときの代償が大きくなります。

10月1日にはパート・アルバイトの労働条件通知書の改正もあります。書類を触るタイミングで、外国人スタッフの管理表もあわせて作ってしまうのが効率的です。

次回は、育成就労を実際に使う場合、会社にどれくらいの負担がかかるのかをお伝えします。

参考にした情報源